監修:社会医療法人 若弘会 若草第一病院
院長 山中 英治 先生
前回では、食事に含まれる栄養素が小腸で吸収され、エネルギーとして利用されたり、筋肉や血液など体の構成成分になることについてご紹介しました。栄養素が吸収された後に残った食べ物のカスは、便となって体の外に出されますが、高齢になると食事量の低下や筋力の低下など、さまざまな原因で便通が悪くなりがちです。今回はその原因と対処方法についてご紹介いたしますので、大腸をしっかり動かし、いきいきとした生活を送りましょう。
近年、大腸がんの羅患率は増加しており、2011年のがんの部位別死亡率の調査では、男性で3位、女性ではなんと胃がんを抜いて1位となっています(図1)。この大腸がんの増加の原因の一つに、食生活の欧米化が影響していると言われています。
従来、日本人は根菜、乾物、イモ類など体内で消化されない食物繊維を多く含む食品をたくさん摂取しており、便の量が多く大腸の動きも活発で、便通も良好でした。そのため、欧米人に多い大腸がんは日本人には少なかったのですが、近年は食事の欧米化によるものか、大腸がんの羅患率が増えてきています。
■図1.悪性新生物の主な部位別死亡率の推移(人口10万対)
平成23 年人口動態統計月報年計の概要 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp(2012 年12月現在)
一般的に、便通が悪くなる原因として、摂取水分の不足、食物繊維の不足、病気によるもの、心理的な問題、薬の副作用などがあります。これに加えて、高齢になると食欲減退による食事量の減少から、腸への刺激が少なくなり便通が悪くなることがあります。また、歯の数が減るなどして、噛む機能が低下すると、繊維質の多い食事が食べづらくなります。したがって、大腸に入る便の量も減り、さらに動きも悪いので、ますます便秘に傾くのです。
①食事をしっかり食べましょう。
食事をすることで、腸が刺激され腸管の動きが活発になります。また、食べ物が胃の中に入ると、その信号が神経を刺激し、大腸を収縮させることで便を直腸まで送ります。特に、朝食後はこの反応が敏感ですので、しっかりと摂るようにしましょう。食べる機能が低下して普通の食事が食べづらい場合は、よく煮込む、ミキサーにかけてペースト状にするなど調理を工夫したり、「あいーと」など軟らかく加工された食品をうまく取り入れ、十分な量の食事がとれるよう心がけましょう。
②食物繊維を上手に摂りましょう。
食物背には便通を改善させるだけでなく、腸の善玉菌を増やす働きもあります。この食物繊維を多く含むイモ類は、蒸かすとホクホクしておいしいですが、食べる機能が低下している人はのどに詰まらせる心配があります。このような方は、牛乳やスープ、だし汁などの水分を含ませ、食べやすくなるよう工夫しましょう。また、つぶしたり、裏ごしをするとなめらかになり、さらに食べやすくなります。
③水分は十分に摂りましょう。
体内の水分が減少すると、便通が悪くなるだけでなく、脱水状態になりさまざまなトラブルが起こります。普段から少しずつ、お茶などの水分を飲むように心がけましょう。また、水を飲む時にむせてしまう人は、とろみをつけると飲みやすくなります。トロミ剤を活用したり、ゼリー飲料をうまく利用しましょう。
④ストレスをためない
ストレスがかかると腸管の働きや感覚神経を鈍らせ、排便時に便が出にくくなったり、便意を感じにくくなることがあります。日々の生活の中で楽しみをみつけ、明るい生活を送れるよう心がけましょう。
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