監修:日本歯科大学付属病院 口腔リハビリテーション科
教授 菊谷 武 先生
高齢者を悩ます肺炎、歯周病、虫歯…
実はこれらの病気は口の中の細菌が引き起こしています。口はおいしい食事をとるための大切な場所ですが、なんと病気を引き起こす細菌が侵入して、住み着いている場所でもあるのです。
でも、ご安心を。毎日の歯磨きと、そのときのちょっとしたコツで、口の中から細菌を取り除くことができます。
今回は、口の中の細菌が病気を引き起こす仕組みと、歯磨きで細菌を取り除く方法を紹介します。
口の中は、肺炎や歯周病の原因となる細菌にとって、居心地のよい環境が整っています。特に、肺炎の死亡者は高齢者が9割以上を占めており、この原因の多くが口の中に住み着く細菌や食べ物が、誤って気管に入ることで起こる『誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)』だと言われています。つまり、口の中を掃除し清潔に保つことが、肺炎予防の第一歩なのです。
唾液は食事をするときはもちろん、一日中分泌されています。
のどの働きが正常な人はそのまま食道へ流れるか、誤って気管に入っても、むせて肺へ入るのを防いでいますが、加齢に伴いのどの働きが衰えてくると、唾液が肺へ入り込む危険があります。このとき、口の中が細菌で汚染されていると、唾液と一緒に肺に入り、肺炎を引き起こします。
歯の清掃のポイントは、細菌の塊であるバイオフィルムをはがし、それを取り除くことです。細菌は、バイオフィルムと呼ばれる膜をつくり、歯や粘膜にくっついています。これをほおっておくと、虫歯や歯肉炎だけでなく、肺炎やその他の病気の原因にもなります。
膜をつくった細菌は、配水管に付着するヌルヌルとした汚れ同様、水を流しただけでは除去できないため、歯ブラシなどではがし、うがいによって口から出す必要があります。
【正しい口の清掃方法】
①細菌の塊をはがす
歯についた細菌の塊は歯ブラシを使って、粘膜についた細菌の塊はスポンジブラシやガーゼなどを使ってはがしましょう。
歯ブラシ スポンジブラシ 糸ようじ 歯間ブラシ 口腔ケア用ジェル
●歯の清掃方法
口の中を傷つけないように。歯ブラシは鉛筆と同じ持ち方で、力を入れすぎないよう注意しましょう。また、歯と歯の間や、歯と歯ぐきの境目など、細菌がつきやすいところから先に磨き、磨き残しをなくしましょう。
●粘膜の清掃方法
舌やほほの粘膜に付いた細菌は、スポンジブラシを使って図の矢印の方向に、奥から手前に向かって汚れをかきだすようにぬぐいます。
ここでも、力を入れすぎず優しく行うことを心がけてください。
②細菌の塊を取り除く
歯や粘膜からはがした細菌の塊は、うがいによって取り除きましょう。うがいができない場合は、誤嚥に注意し、むせない姿勢をとって、必要以上の水や洗浄剤を使わないよう配慮しましょう。
また、湿ったガーゼやウエットティッシュによって拭き取る方法や、吸引を使って除去する方法もありますので、状態に合わせて選択することが大切です。
■(後編)いろいろな物が食べられるようになるためのポイント>
以下よりあいーと介護食をご購入頂けます。
嚥下機能が低下した方はご使用をお控えください
0120-357-770
9:00~17:00 (土・日、祝日、弊社休業日を除く)
フリーダイヤル
0120-357-770
9:00~17:00 (土・日、祝日、弊社休業日を除く)
インターネットでの
ご注文はこちら
この先のページで提供している情報は、医療関係者、または介護関係者を対象に作成した情報です。
一般の方が理解しやすいように配慮されたものでないことに十分ご留意ください。
あなたは、医療・介護関係者ですか?