高齢者の食事の場面では、たとえば下記のようなお悩みを抱えるご家族も多いのではないでしょうか。 ・食事中、途中で箸を止めてしまう ・食が細くなった ・やわらかいものを用意しても残してしまう もしかしたら、高齢者ご本人もお悩みかもしれません。 それではどんな料理なら、喜んで食べてもらえるのでしょうか。 今回は、かむ力について、そして高齢者の方にとってどんな料理が食べやすいのかについてお話します。
かむ力が弱くなってくると、食べられるものが限られ、低栄養の状態になりやすいというリスクがあります。また、かむだけではなく飲み込む力など、口の機能が全体的に低下している場合は、誤嚥性肺炎のリスクもあります。 かむ力が低下してきたと感じたら、まずは医師や歯科医師などの専門家に相談し、その人の状態に応じた食事に切り替えて、低栄養を回避することが急務です。では、かむ力の低下は、どのように見極めることができるのでしょうか。
日頃から確認したい、かむ力のチェックポイント
以下のような点にいくつかあてはまる場合は、かむ力が弱くなっているかもしれませんので、医師・歯科医師やお住まいの保健センターなどへの相談をおすすめします。 ①固いものが食べにくいですか? ②お茶や汁物等でむせることがありますか? ③口がかわきやすいですか? ④薬が飲み込みにくくなりましたか? ⑤話すときに舌がひっかかりますか? ⑥口臭が気になりますか? ⑦食事にかかる時間は長くなりましたか? ⑧薄味がわかりにくくなりましたか? ⑨食べこぼしがありますか? ⑩食後に口の中に食べ物が残りやすいですか? ⑪自分の歯または入れ歯で左右の奥歯をしっかりとかみしめられますか? よく観察していると気づくのですが、本人はかむ力の衰えのせいだとは自覚しにくく、歳のせいだから仕方がないと諦めてしまうことがあります。放っておかず、その人にあった食べやすい料理を検討しましょう。
かむ力が低下してきた高齢者向けに食事を用意する際、注意したい点についてお伝えします。
パンはなるべく小さくちぎって食べる
たとえばパンはやわらかいから食べやすいと考えられがちですが、実際にはパサパサとして水分が少なく、口の中でまとまりにくいため、食べにくいと感じる人もいます。時間をかけてかむうちに口の中でまとまってくると、今度は塊になってのどにつかえやすくなることがあります。パンはできるだけ小さくちぎって口に入れるようにしましょう。とろみがあってむせにくいポタージュスープや中華スープなどを添えて、浸して食べるのもおすすめです。
ご飯はあんかけ風にするなど一工夫がおすすめ
ご飯も、飲み込みにくいと感じる人が多くいます。やわらかく炊いても、口の中でベタついてスムーズに飲み込めないことがありますので、その場合にはお粥にします。またリゾットやあんかけ風にするなど、少しの工夫で食べやすくすることができます。
肉はバラ肉やひき肉が、魚は刺身より加熱した方が、食べやすい
肉は赤身よりも、脂肪分が多くやわらかくて飲み込みやすいバラ肉のスライスや、ひき肉が便利です。 魚は加熱してもやわらかく、食べやすいものが多い食材です。刺身はのどにつかえないよう、小さめに、薄く切りましょう。
かみ切りにくい食材は細かく刻んだり、水分のあるものと組み合わせる
わかめや海苔などの海藻、ネギ、トマトや豆の薄皮なども、かみ切りにくく口の中に残りやすい食材です。わかめやネギは細かく刻んで使用しましょう。ネギは肉厚な薄緑色の部分ならば、やわらかく調理できます。海苔はご飯やチーズなど水分のあるものを巻いて、すこししっとりさせると食べやすくなります。 トマトや豆の薄皮は、茹でて取り除くようにしましょう。長時間煮込んでも、なかなかやわらかくならない野菜が、ごぼう、たけのこ、れんこんなどです。こんにゃく、いか、たこなども、口の中でまとまらず高齢者には手強い食材です。細かく刻んだり、すり身にしたり、水溶き片栗粉でとろみをつける方法もあります。いかは、細かく刻んでトマトでじっくり煮込むと、やわらかくなります。イカゲソや耳は固さが残るので、胴体のみ使用しましょう。 食べる人のかむ力、飲み込む力によっては、上記のような方法でつくった料理でも、誤嚥してしまうことがあります。心配な場合は早めに、医師や歯科医師などの専門家に相談することをおすすめします。 また、家庭でやわらかくしにくい食材については、市販のやわらか食や介護食をうまく取り入れてみることもおすすめです。献立の一品だけを市販のものにするだけで、食材のバリエーションが増えるため、喜ばれるのではないでしょうか。
高齢者向けと家族の食事を、同じタイミングで準備する、ひと工夫
家族の食事と、高齢者向けの食事を別々につくるのは手間がかかるので、できるだけ同じメニューの中で、やりくりしたいと考える人は多いのではないでしょうか。高齢者が食べる分を取り分けてレンジでやわらかくなるまで加熱したり、若い人の具材を歯応えが残る程度で引き上げたりなど、ちょっとした工夫で手間が省けることがあります。 たとえばパスタは、先に若い人が食べる麺をアルデンテの時点でソースを熱したフライパンに引き上げ、盛り付けてしまいます。高齢者が食べる分は、引き続き麺の袋の表示より5分以上長く茹で、フライパンに残したソースにあわせて盛り付けます。最後のソースにはパスタの小麦粉が多く混ざっているので、すこし煮詰めるととろみがついて食べやすくなります。パスタは冷めにくいので、5分程度の時間差があっても、いっしょに温かい料理を食べることができます。冬場は盛り付けるお皿をお湯で温めておくと、さらに冷めにくくなりますのでおすすめです。 ※食べられる食材や形状については、その人の状態により異なります。必ず医師・歯科医師等の専門家にご相談ください。
食事で喜んでもらうためには、見た目においしそうであることが大きなポイントです。家庭では料理をつくっているときの香りも、食欲を誘う演出になります。蓋付きの器を使えば、食べる直前、蓋を外したときに見た目と香りを同時に楽しんでもらえます。 ミキサー食は、なにを食べているかわかりにくいため、食材本来の味を認識しにくいという問題があります。固いものが食べられないからと、すぐにミキサー食にしてしまうのではなく、できるだけやわらかく調理したものを食べてもらい、それでも食べにくいようなら次の段階に切り替えるなど、その人にあったやわらかさの料理を用意することが大切です。
今回は高齢者に喜んでもらえそうな、やわらかい料理について、家庭でできる色々な工夫をご紹介しました。おいしくて、見た目にも食欲を感じられる食事に出合うことで、高齢者の体調が改善するというケースも多くあります。 しかし毎日のこととなると、食材によってはやわらかくするなどに時間がかかる料理もあります。そんなときには、食材の見た目がそのままで、驚くほどのやわらかさと味を実現した、あいーとの食事を試してみてはいかがでしょうか。かむ力が弱くなった方向けの食事と、かまなくてもよい食事の、2タイプをご用意しています。 おいしそう!という気持ちは、食べる力になります。あいーとの食事をぜひ一度お試しください。家族が手づくりする際の、ヒントも満載です。
参考 厚生労働省 口腔機能向上マニュアル~高齢者が一生おいしく、楽しく、安全な食生活を営むために~ (改訂版)平成21年3月 「口腔機能向上マニュアル」分担研究班 https://www.mhlw.go.jp/topics/2009/05/dl/tp0501-1f.pdf(2021年12月現在)
以下よりあいーと介護食をご購入頂けます。
嚥下機能が低下した方はご使用をお控えください
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